そもそも野党は詰んでいる

これは野党の行動原理について解説するものであって別に野党を叩く目的のものではない。 それなりに長い(2300字くらい)ので暇な人向け。

内閣支持者不支持者どちらからでも間違ってるよ!とかそういうのがあったら是非教えてください。

 

スタンスを明らかにしておくが、私は決して首相絶対支持でもなければ今の時点で今の野党に政権についてほしいとも思っていないし、首相を変えろとかそういうことをいう人間ではない。そこまでそれ自体に興味はない。

現政権の功績やら問題点の話は今回するつもりがないので他でよろしく

 

 

さて、最近では高プロがどうたらとか言いながら働き方改革関連法案やらTPP関連法案やらが衆議院を通過するとか森友がどうとかでいつものように国会が荒れている。

与党は法案を成立させることを目的としているし、一部の野党を除けばこれらの法案成立を阻止するためにいろいろなことを行っている。

しかしながら今まで第二次安倍政権の成立以降、安保であったり秘密保護法であったり野党が力を入れて反対してきた法案はだいたい成立しているし、今回の法案やら条例案も来月末には全部参議院を通過していると思われる。

 

そして熱狂的な与党支持者や野党叩きを好んでしている人たちは以下のようなセリフをよく見ると思う。

「また審議拒否/遅延戦術か」

「維新のように妥協して建設的な議論をしろ」

確かに主に立憲民主党を中心とする野党勢力は審議拒否、遅延戦術を行ってきたし、国会前デモに参加したりといった様子が報道されたり、また自身から発信したりしている。

 

Twitterなどではよく見るように、このような野党の行動は特に与党支持者から叩かれるわけであるが、じゃあなぜ野党はこのようなことをしているのか?ということを理解している人はどれくらいいるであろうか。これについて興味ないよ!って人や、全部説明できるよ!って人はこれを読む必要はない。これがすべてではないもののどういうものか気になった人はこれを適当に読み進めてほしい。

 

まず前提として、与党(自民公明)は衆参両議院で各委員会の委員長ポストを握り、委員の過半数を与党で占め、本会議において議長ポストを握り、議席過半数を占めている。

日本においてはまず委員会で条約やら法案の審議を行い、そのあと本会議にて審議が行われるわけであるが、党議拘束もあって与党、内閣の提出したものは採決すれば実質的に可決されることになる。

 

提出された法案に対しての野党のスタンスは3つである。

1 賛成

この場合はなんだかんだ審議はするがそのままである。いうことはない。

2 修正を加えれば賛成

提出されたものに何か加えたり、少し文言変えれば賛成するよ!というタイプ。これもまあいい

3 反対 修正どころの騒ぎではない

これがいわゆる対決法案と呼ばれるもので、話題になるものである。

 

通常国会で審議される法案などでは概ね1,2であるが、正直目立たないし報道されることも少ない。3は話題性があり、特に力を入れていることもあってこればかり審議されている印象を持つことになるのは仕方ない。

 

さて、このような与党が多数を占めている状況において野党がその法案を成立させないためには何をしたらいいのか?

それは実質的に倒閣しかない。数足りないし。

 

今の政権は基本的に国会の会期延長というものをしたいとは考えていない。

カジノやらの法案は通したいとは考えているが、森友加計の話も含めて野党からの追及の場を作りたいとは考えない。

与党の最も恐れることは野党ではなく政権、政党支持率の低下で次の選挙に負けることであって、今の状態が続けばそうなるという状態を回避したいのである。

そうならないのであれば政権はある程度国民からの評判の悪い法案であっても平気で通過させるのである。

 

となると野党は当然内閣、与党の支持率を下げる行動をすることが目標となる。

これに最も効果的なのは与党のスキャンダルを攻撃することである。少し前ならうちわや政治資金規正法、今なら日報や森友や加計の話である。

これらがどれほど効果があったのかはわからないが、問題発覚によって支持率低下は確かにあった。つまりこれを追及すること自体は野党の行動原理から来るものであるといえる。

 

また、野党からしてみれば国会の日程は長ければ長い程追及の場が増えるわけで、こうなるように行動したいと考えるのは自然である。法案の採決には審議時間の積み上げが必要で、審議時間が短い場合は審議が尽くされていないという批判を与党が受けることになる。すると今度は野党の行動原理として審議拒否という発想が出てくる。

 

野党の審議拒否は「与党は審議を強引に進めた」という世論への訴えになるので基本的に与党は審議拒否された時点で審議を止めて野党との妥協点を探すことになる。

すると審議時間が足りなくなって国会会期延長という、野党の追及の場を野党は得ることになる。

まあ今年の場合はそれを無視して与党が審議を進め、かつ審議拒否への批判が大きくなったことから意味はなかったということにはなるが今まではこういう原理で行われてきた。

 

 

つまり数の足りない、妥協できない法案に対しての野党の戦術は与党への支持率を下げることしかないのであって、そのためには与党攻撃をしたい、するための場所がほしいということである。

 

野党の支持率を上げるような行動をするべきでは?という意見はもっともであるが、すぐに上がるようなものでもないし、そのためには与党だめだよねって雰囲気でもって野党側に引き寄せるのが一番早い。

 

長々と書いたがこんなところである。少しでもあーそうだったのかみたいな雰囲気を感じ取ってもらえれば幸いである。別に理解したからどうなるものでもないけど。